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「需要想定」という仕事

「需要想定」という仕事

皆さまは、「需要想定」という言葉をご存知でしょうか?私は、1991年に東京電力に入社をし、料金課や営業課での現場配属を経て、企画調査部という部署に配属されました。この企画調査部で行われていた業務のひとつが需要想定です。需要想定とは、1年後や2年後、長期的には10年後や20年後に電力がどういった使われ方をしていくのかを想定し、設備投資計画を立てる仕事です。一般企業に例えるなら、どんな商品が売れるのかどれだけ売れるのか、予想して販売計画を立てることです。私は、この需要想定という仕事が東京電力という会社の全ての始まりだと思っています。

直近の想定であれば、今は蓄積されたデータがあるので、天気や気温などの条件を設定すれば概ね算出することができます。しかし、10年、20年後を予測することは容易ではありません。もし、エアコンが1家に1台ではなく、1部屋に1台が当たり前になった場合、使用される電力は大きく変わってきます。トイレのウォシュレットだってそうです。開発された当時、ここまで普及するなんて誰も想像できなかったのではないでしょうか。でも今は、当たり前に機能として備わっており、一般家庭にも広く普及しています。今は「有り得ない」ことを頭の中でイメージしながら、未来を予測していく。この予測をもとに、新しい設備計画や運用計画を立てることで、お客様へ電力を安定供給することができるのです。

もちろん、家庭用電力の話だけではありません。産業界で起こることも同様に想定していかなければならないのですが、実際に起きるかどうかもわからないシナリオをチームで描いていき、そのシナリオが100億、200億という会社の収支を左右します。当時はとてもプレッシャーでしたが、だからこそ、やりがいのある仕事でした。

そして、この需要想定は「電力の自由化」にも大きく関係してきます。電力の自由化によって、他社の参入が増える中、私たちが一番に考えなければならないことは、電力の安定供給です。そのためには、電力の自由化を前提とした需要想定が必要でした。私は需要想定をするチームに所属していたので、今後、東京電力はいかなる経営を行うべきか、自由化はどういうシステムであるべきかに関する政策を取り纏める担当となり、電力の自由化への対応にあたりました。電力の自由化については、また後日お話しさせていただきます。

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